太陽が北に?

日本では日差しの良い南側は、日差しの悪い北側より好まれます。しかし、暑いタイでは日差しが良いのは必ずしも良いとは言えません。
私はタイに来たばかりの頃、その日差しに関して大失敗をしたことがあります。
ほぼ真西に向かう長距離バスに乗ったとき、座席指定ではなかったので、日が入ると暑いので進行方向に向かって右側(つまり北側)に座りました。
ところが、動きはじめると日が差しこんでくるのです。まあ、全体的には西側に行くとはいえ、進行方向が西側ではないこともあるはずだから、そのうち日が差さなくなるだろうと思っていました。ところがいつまでたっても日が差し込んできます。
「おかしい!」そこでなぜか考え直しました。
皆さんは分かりますか?

北回帰線より南側にあるタイでは、太陽は必ずしも南側を通らないのです。
そうです。タイでは太陽が北側に来ることがあるのです。
地球は太陽に対して23.4°傾いています。下の図は夏至の太陽と地球を表したものです。
最後の図(止まった図)で、矢印がその地点の真上にあたり、点C(北回帰線)の真上に太陽が来ることが分かります。
北回帰線より北にある日本では、夏の朝夕に、少し北側に行く事はありますが、ずっと北側を通る事はありません。
しかし、北回帰線より南にあるタイでは東側から昇った太陽が西側に沈むことに変わりはありませんが、日本の夏に当る時期には太陽が一日中北側を通るのです。
つまり、西に向かうバスに乗るとき、常に進行方向の右側が良いとは限らないのです。


夏至の太陽と地球の関係

青印:日本  赤印:タイ  N:北極点  C:北回帰線(上の点)  A:南極圏(上の点)

地球からの矢印はその地点での真上の方向を表しています。
 太陽が真上に来るのは、北回帰線上()
 太陽はタイ(赤印)では真上より北側を通り、日本(青印)では南側を通ります。
 ちなみに、北極点()(北極圏)では一日中太陽が沈まない白夜、南極圏()では一日中日が昇らない極夜です。

地元の人はこの事実を(経験的に)知っていたようで、実は出発時には左側の席は満席になっていて、右側だけポツポツと空いていました。
本心、出発前は「バカだなー」と思っていたのですが実はバカなのは私だったのです。